2025年6月15日(日曜日)に,漢検(日本漢字能力検定)の準1級(2025年度第1回,R7-1)を受験し,181点で合格した.勉強法と感想を書く.
勉強法
使ったもの
書籍をメインで進めて,不明点が生じたらWebサイトを辞書的に用いた.過去問は問題演習のためではなく自身の実力を調べるために使った.
書籍
使用したのは,『史上最強の漢検マスター準1級問題集』(以下,ナツメ社)と『でる順×分野別 漢検問題集 準1級』(以下,旺文社)である.準1級用の書籍として最もクセの少ないと思われる2冊を使った.事前の見立てで,並の問題を完璧にすれば余裕を持って(170~180点程度で)合格できると考えたためである.
いずれも頻度順の問題集で,ほとんどの問題に解説が付けられていて使いやすかった.巻末の模擬試験は初見の問題がかなり少なく,高い点数が出やすいので要注意と感じた.
ナツメ社に関しては,文章題から抜粋された問題の文章が短く,初見で文脈を捉えるのは難しいと思うものが少しあった.旺文社に関しては,解説の一部が問題文の横に赤字で書かれている場合があること,ノドあき(見開き中央部の余白)が小さく読みづらい箇所があることが気になった.
問題集を使うときは基本的に,まず1周してみて間違った問題をメモしておき,2周目以降は前回間違えた問題だけを解くことを誤答が無くなるまで繰り返す形式をとった.このときに,まぐれ当たりは間違ったとみなすべきである.しかし読み問題の場合には,類推で解くべきものが多く,明確に知識として無くても解けたものとして扱った.書籍に書き込みをするのが個人的に嫌なので,スプレッドシートで管理した.
これを2冊で交互にやりながら合間に過去問を解いた.似たような2冊を選ぶことで,どちらを優先すべきかなどと考えずに初見問題を減らせたのは良かったと思う.
Webサイト
- kanji.me 漢字検索
- 変換するのが面倒な漢字を手書きで検索できる.認識の性能はかなりよく,基本的に一発でうまくいく.
- 解説の粒度も適切だと思う.
- 四字熟語辞典オンライン
- 四字熟語を読みの部分文字列で検索できる.
- こちらも解説が良い.
- 漢字検定準1級 無料練習問題
- 故事・諺だけ利用した.この分野の問題は推測が困難なことが多いため.
- R3-1以降の過去問を使用していると思われるが,仕方ない.
過去問
実力を確認するために参考書の出版後に実施された回の過去問を使った.そのために,できれば2021度第1回(R3-1)以降の過去問をすべて使いたかったのだが,R3-1,R3-2,R3-3,R4-1,R4-2,R4-3,R5-3の計7回分しか入手できなかった.このうちR5-3以外を実際に解いた.
時系列
- 勉強開始前
- 2月上旬に受験を決意.受験当時28歳,理系出身.
- 読みはクイズ番組などで難読漢字として頻出なものがわかる程度,書きは普通,類義語対義語や四字熟語はほぼゼロから.
- 直近の漢検受験歴は中学生時の3級(合格).
- 2月上旬~:ナツメ社で書きと四字熟語をさらう.
- 書きや四字熟語は最初は「全部わからない」ということになりそうだと思ったから.
- 読み問題(特に音読み)は推測が容易なものが殆どで単純につまらないと感じたから.
- 4月中旬~:ナツメ社を1周する
- 1周とは書籍の項目に書いた形式で誤答が無くなるまでの過程を指す.
- このあたりから,1日1時間程度は習慣的に勉強していた.
- ナツメ社巻末の模擬試験に解答.
- 第一回:195点,第二回:187点
- 前述の通り初見問題が少ない.本編の内容が定着していれば190点程度は取れるのでは.
- 5月上旬~:旺文社を1周する.
- 旺文社巻末の模擬試験に解答.
- 第一回:199点,第二回:198点,第三回:200点
- 2冊で勉強した分,初見問題はさらに減った.
- 2冊を交互に回しながら過去問
- R3-1(5/15,14.7%):168点
- R3-2(5/18,5.5%):169点
- R3-3(5/29,11.6%):179点
- R4-1(6/11,13.7%):180点
- R4-2(6/14,18.3%):181点
- R4-3(6/14,11.1%):184点
- 試験本番(6/15),合否結果公開(7/10),採点結果到着(7/24)
感想
試験本番について
自己採点では181点(29+8+10+4+38+8+28+20+18+18)1で,書いたことを全部正しく読んでもらえれば合格間違いなしといった手応えがあった.ちなみに7月24日に採点結果が実際に返却されたが,自己採点との差は全く無かった.
共通の漢字の減点が特に多く,それ以外はまんべんなく落とした.やはり共通の漢字は私が過去問を解いてきた回と比べても難しかったと思う.他の大問も少し難問が目立った気がするがそれ以外は易問が多く,中間的な問題が少ないと感じた.結論として合格が比較的簡単な回と見ている.
過去問を解いていたときは30分くらいで一通り終わっていた一方,本番は答案に綺麗な字を書くことを意識した結果45分くらいかかってしまった.飛ばした問題に取り組んだり見直したりする時間を考えると,受験前の感覚よりかなり余裕が無く感じた.ただ,事前にそういった練習をしておくほどではないと思う.
私が受験した会場(東京A,池袋サンシャインシティ会議室コンファレンスルーム)は,場所が非常にわかりづらいと思った.受験票の記述に従って行くと,サンシャインビジョン(ニトリがある建物だが,ニトリに入ってはいけない)横で一旦地下一階に入ってから,地下街を経由して専門店街へ行き,5階の会場を目指すことになる.地下街に入ってからも10分くらいはかかるし,迷いやすいと思うので,初めて行く人はかなり時間に余裕を持ったほうがよい.
この会場ではアナログ時計が部屋に置かれていたので,ある程度の視力があれば腕時計は持ち込まなくてよいと思う.
勉強法について
今回の勉強時間は100時間以内である.同程度の勉強時間で準1級合格の可能性を最大化するなら,上に示した参考書2冊を完璧にするのは良い戦略だったと感じる.似たような2冊を選んでおり本質的には1冊を回すのとほぼ変わらないが,初見問題や変な覚え方をしている問題を減らす効果が期待できる.
完璧にすると言うのも,素直に問われたものに解答できるだけで十分である.例えば以下のことはしていないし,それよりも記載の問題を完璧にする努力をする方が効率的だと思う.
- 読み問題の漢字を書く
- 四字熟語の書きで,問題と逆の2文字を問われても答えられるようにする
- 四字熟語全体の読みだけから書きを答える
- 故事成語・諺で,問われていない部分の漢字を書く
もちろんこれにより,漢字そのものの勉強としてはアンバランスになった部分もある.漢検合格のみが目的でないのなら追加の学習をすればよいと思う.また,高得点を狙う場合は他の教材も含めた学習が必要かもしれない.
今後について
- 1級の勉強をしてみたい気持ちは少しだけある.少しだけなのは,準1級よりはるかに難しいことが容易に想像できるため.160点未満の目標点を自分なりに設定してみるのは面白いかもしれないが.
- 準1級のリピートや2級以下の受験は全く考えていない.
- その他,漢検に関連しそうな他の検定試験等についても特に受験の予定はない.
- 誤答は1-26,2-6,2-9,4-1,4-3,4-5,5-18,6-3,7-1-3,9-9,10-キ,10-コ. ↩︎